HOME日本語TOP入試問題と著作権 > 二次利用(過去問題等)
 一般的な解釈
  過去問題集は、「学識技能や検定」を目的とはしておらず、第三十六条には該当しない。一般的な著作物の利用と考えるべきであろう。この場合先の入学試験での著作物の利用とどこが違うかまとめると次のようになる。

  著作物が使われた過去問題集を公表(出版・公衆通信等)する際には、事前に著作権者への利用
  許諾が必要となる。
  著作権者は、著作物を複製させる(権利使わせる・使わせない)権利を行使できる。
  著作権者は、著作物を複製させる際に表現等の条件を求めることができる。
  著作権者は、著作物の使用料を請求できる。

  上記4点に留意が必要となる。ただし、問題作成の際に問題文自体の著作権が発生するので、学内で作成する際は、業務として著作権の所在を明らかにしておく必要がある(第十五条)。
  また、著作物が使われた過去問題集を公表する主体が、学校ではなく、出版社やインターネット業者の場合は、上記1から4の対象は、学校ではなく公表する業者となる。

付記:残部配布について(平成19年2月10日)
  平成17年11月1日付けで社団法人日本文藝家協会(理事長 黒井千次氏)が全国の大学へ送付した「入学試験に関する要望書」では、「試験終了後に受験生以外に配布する場合、入学試験問題をホームページ等に掲載する場合、入学試験問題を各校独自の試験問題集に収載する場合は、いずれの場合も著作物使用料が発生いたします。必ず著作者(著作権者)の許諾を得た上で使用料のお支払いをお願い致します。」と明示されている。新たに印刷しなくても残った入学試験問題を第三者へ渡すこと自体に著作権料が発生するの見解が示されている。第四十七条の3(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)では、いわゆる残部配布は、認められている行為だが大学によっては、1000部を超える実施済みの入試問題が配布されている。私たちは、いわゆる残部配布は許容の範囲内との見解を示してきたが、その解釈には、判例がない以上、こうした著作権者の意見が存在ことも考慮すべきと思われる。つまり受験した本人以外の者への開示には、「著作権者の利益侵害」、「人格権への配慮」、「社会通念上適正な数量」等に配慮し行わなくてはならないと思われる。

 二次利用について
  二次利用の際、非許諾が出る可能性は予測できる。非許諾でなくとも「著作者への連絡が取れない」「返事がない」等、問題集作成に支障をきたす事態への対応策を事前に考えておいた方がよさそうである。そうした事態を少なくすするためにも問題作成からの準備が必要である。
 問題作成時の準備
◆使用する著作物の出所を明らかにしておく
(出版物であれば、使用個所のコピーに加えて表紙・奥付もコピーを残しておく。新聞の場合は、ヘッダの日付・版名〈東京版・関東版etc〉もコピーを残しておく。インターネットの場合は、使用個所と連絡先のハードコピーを残しておく)
◆安易な使用をしない
(文学作品を用いての漢字の書取り、全編を読まずに一部分の抜き取り)
 試験後の対応
◆試験後、速やかな連絡
(全日程終了後ではなく、試験が終了したら1試験ずつ処理をする)
 非許諾の対応
◆印刷物の場合、入稿日から逆算しいつまでに許諾が必要か日程の調整と許諾がいただけない場合の対処について印刷業者との事前の打ち合わせが必要となる。複数の著作者の場合最低でも2ヶ月程度はかかる。
 根拠となる著作権法(抜粋)
第十五条(職務上作成する著作物の著作者)
第三十六条(試験問題としての複製等)
第四十七条の3(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)
 参考文献
■著作権法逐条講義加戸守行著社団法人著作権情報センター刊
■著作権法詳説三山裕三著雄松堂出版刊
■詳解著作権法作花文雄著ぎょうせい刊
■アメリカ著作権法の基礎知識
■山本隆司著大田出版刊
■文化庁ホームページ
■社団法人著作権情報センターホームページ
■内閣官房知的財産戦略推進事務局ホームページ