« 個人情報保護 | メイン | 英語著作物の利用 »

「国家の品格」藤原正彦著

 藤原正彦氏の「国家の品格」を読ませていただきました。私を含め多くの今の日本に違和感を感じる人たちに「そう、そうなんですよ、私が感じているのは!」と相づちを打ちながら読み進む一冊ではないかと思います。  グローバル化、国際化の言葉のもとに「日本らしさ」を置き去りに、いや捨て去ろうとする日本の姿を憂う藤原氏の言葉は、どれも大きな含蓄を持ち一つひとつに頷いてしまいました。人に個性を求めながら国家としての個性を捨て去ろうとする・・・・・  「卑怯」「惻隠」「ものの哀れ」「儚さ」といった言葉が、死語になりつつある現代社会。そうした言葉が随所に出てくるこの本は、私たちが忘れてしまった「生かされている」という私たちの存在そのものを再認識させてくれます。  そういえばノーベル平和賞受賞者でケニア環境副大臣のワンガリ・マータイさんが来日した際、「もったいない」という言葉を知って感銘を受け世界に「もったいない」を広げようとされているという記事を読んだことがありましたが、私たちは、こうしたすばらしい言葉を忘れてしまっています。 忘れる=思考から消える   すなわち文化の伝承がなされないということです。藤原正彦氏が同書の中で論じられているように、「英語教育の前に国語教育」(これは、英語の先生方も国語力がなければ、英語力は伸びないといわれます)です。  言葉と文化を大切にしたい。私は著作権という仕事を通して多くの方の著作に触れる機会をいただいていますが、学生の皆さんにも受験や試験のために出会ったすばらしい文章は是非その原作に触れていただきたいと思います。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://202.164.225.153/cmt/mt-tb.cgi/9

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)