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英語著作物の利用

 入試問題の二次利用で避けて通れないのが『英語の許諾をどうするか?』という問題です。私たちは、これまで基本的に日本語の著作物を中心に英語は著作(権)者が国内に在住する場合、あるいは国内に連絡先がある場合に限り対応するというスタンスをとってきました。
 実際には、要望があればエージェント経由で許諾を取るということもしてきましたが、時間も費用も桁はずれにかかりとても要望に応えられる仕組みを作るのは難しいというのが実感でした。
 何か良い方法はないものかと悩んでおりましたが、人材にも恵まれ、今年、試験的に直接海外の著作権管理団体や著作(権)者と直接コンタクトを取り許諾を取ることを試みました。国内では、様々な経験を積み対処方法を持ち合わせていても、海外での活動は手探りで、様々なトラブルがありましたが、ある程度満足のできる成果を得ることができました。近々に皆様にもご報告をと考えておりましたところ、トラブルの処理で時事通信社のご担当者様から貴重なお話を拝聴する機会を頂きました。
 詳細は、『英語著作物の留意点』として本ホームページに後日コーナーを設け紹介をしたいと考えておりますが、重要なポイントだけお伝えしておきます。
 時事通信社は、海外の通信社からのニュースを国内の新聞社や出版社、放送局などのマスメディアへ配信する会社ですが、「海外通信社→時事通信社→国内メディア」という流れの中に様々な契約があり『著作権法第36条』だけでは片付けられない商慣習が存在しているということです。
 ご存知のように、欧米は契約社会です。『著作権法36条』を成立させるためには、『出所の明示(48条1項三)』『同一性保持権(20条)』を遵守することが条件です。このことは、絶対条件として守って頂かなくては、二次利用はおろか、訴訟を起こされても仕方ありません。ページ数の都合や設問との関係での文章の省略、受験生のレベルに合わせての多少の改ざんはやむを得ないことですが、論旨自体を変えることは、明らかに著作権法に反します。
 時事通信社からの要望として、事前に入学試験に使う旨の連絡(具体的にどのTEXTを使うかではなく使うという包括的な意思表示)を頂きたいとのことです。たしかに著作権の制限として36条が定められていますが、あえて時事通信社が定める、利用の際の留意点 
1.掲載した新聞などの了解を得ている 
2.使用は申請分の一回限りとする 
3.内容を無断で変更しない 
4.掲載紙名と時事通信社のクレジット(『時事』『AFP jiji』等)を明記する 
を利用者にお伝えし、きちんとご理解頂いたうえで条件を守りご利用いただきたいとのことです。
これは、長年海外の通信社とCopyrightのやり取りをなされてきた同社が、言われることだけに無用な紛争や訴訟を回避する上でも重要なことだと思われます。
 実際、小会が海外著作物の許諾を進めるうえでトラブルとなるのは、『出所の明示』と『改ざん』です。これから問題作成に入られる時期かと思いますが、この点には十分留意して進めて頂きたいと存じます。

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