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2007年05月30日

『知的所有権(知的財産権)』の“イメージギャップ”

 先日、梅田大学院コンソーシアムが主催する「コンテンツビジネスと知的財産」という講座に参加させていただいた。6回連続講座で、私が勝手に師と仰ぐ江口順一教授や高榮洙准教授が講師陣である。
 江口先生とは、私がこの日本著作権教育研究会を立ち上げるときに「関西で著作権に最も詳しい人に会いたい」といろいろな大学に尋ね歩いた中でお会いできた先生で、当時の拙い私の著作権の知識で教育機関の著作権に対する無知さ、そして取り組みの甘さ、著作物の利用者のための許諾処理機関が必要であること等、今思えば大先生に偉そうにまくし立てたのが、最初の出会いでした。江口先生は、真剣に私の話を聞いてくださり、私は、この会の立ち上げを決意したわけです。

 話を元に戻しましょう。第一回目の5月29日は、江口先生のご担当で、「知的財産基本法」の方向性~“知財立国”実現への課題~というテーマで2時間拝聴させていただいた。
 小泉前首相が、打ち立てた、「知的財産基本法」を世界レベルのグロ-バルな見地から南北の経済問題、先進国の世界戦略、途上国への健全な技術移転のあり方、権利保護と富の平準化など興味の尽きないお話が続き2時間の講座は、あっという間に過ぎてしまった。
 その中で最も印象に残った言葉が“イメージギャップ”。江口先生は、今から20年以上前の80年代に今回の講座と同じように中之島で知的所有権に関する講座を当時の関経連の宇野会長から依頼され行われたとの事だった。その際に宇野会長が言われたのが欧米と日本の知的所有権の“イメージギャップ”という言葉だったそうである。
 今年から本格的に英語の許諾処理を始めて、私も同じことを感じていたので思わず身を乗り出してしまった。20年前に産業界が持っていた“イメージギャップ”を教育界は、まだ乗り越えていないのだ。
 例えば、「出所の明示」は、我が国では殆どの人が「何処から持ってきたか」ということと「感謝」の意味で記載している。同じような表示であるCopyRightは、「所有権(財産権)の表示」であり「文責の表示」である。こうした意識の差は、海外出版社との交渉で随所に現れるのである。