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英国著作権事情

 7月30日から著作権の権利処理の実務と意見交換のために英国へ行ってまいりました。
訪問先は、
CLA(The Copyright Licensing Agency)
PLS(Publishers Licensing Society)
OUP(Oxford University Press)
BL(The British Library)
の4団体。詳しくは、各団体のホームページをご覧ください。

 駆足での訪問で、それぞれアウトラインの話のみになり残念な部分もありましたが、我々の訪問に対し大変興味を持って迎えられました。特にOUP(Oxford University Press)に於いては、協力体制を前向きに検討していただけそうです。また、BL(The British Library)に於いては、法律的な部分とその周辺での出版社との取り決めや著作者との連絡が取れない場合の現実的な処理についてのアイデアなども教えていただきました。
 今回の訪問目的は、英国における著作権管理のシステムを理解するすることにありましたが、その目的はかなり達成することが出来ました。ただし、このことにより直ちに権利処理がスピードアップできるかといえばそうはならないことも解りました。結局のところ、国内での利用の仕方やCopyright情報の収集状況が処理スピードに大きく影響することに変わりはないことを再認識させられたというのが正直なところです。
 
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 まず今回は7月31日に訪問したCLAについてレポートいたします。
 CLAは、書籍や雑誌、新聞からの複写やスキャン利用に対するライセンスを与える非営利の団体です。版権(版面権)に対するライセンサーで企業や各教育機関で複写利用されるものについて出版社や新聞社に代わり集中管理し、許諾を出しているとのことです。
 お会いしたのは、International Development Manager の Eva Perez Nanclares さんと Business Development Manager - Education の Robert Dyer さん。
出版者(社)団体、新聞社団体、写真家団体等を取りまとめ、それまで各社へ許諾依頼が必要であったものを一元化出来た点を強調されていました。このことによりユーザーが、時間的なストレスを感じずに資料が使えるようになったとのことです。
(我が国でも、不法利用の多くは、手続きの面倒さにありこうした方法は必要であろうと思われます。管理事業法が改正され多くの管理団体が出来ることは悪いことではありませんが、ユーザーにとって一元申請が出来ない点は不便であり、特に著作権においては、不透明さが拭えません。)
ただし、ここで扱われるものは、主にコピーであり会議資料やコピーし使われる程度の授業教材であり、パブリッシングは対象としていないとのことです。(我が国では、私的コピーについて細かく決められていませんが、英国では、図書館でのコピーは1枚だけと決められています。また教育目的でも分量により許可が必要とされています。)
現在のところ業務上の小会との接点はありませんがCLA的な組織のあり方は、小会が目指すところであり、設立までの圧力やハードルの話は大変参考になりました。
(もっと具体的に書きたいのですが、私のリスニング能力では、具体的に書くと誤認がありそうですのでニュアンスの話になってしまいました。申し訳ございません。)
  

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