第186回通常国会(平成26年4月25日)に成立し、同年5月14日に平成26年法律第35号として公布された。本法律は,一部の規定を除いて,平成27年1月1日に施行される。
出版権の改正については、近年、デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、電子書籍が増加する一方、出版物が違法に複製され、インターネット上にアップロードされた海賊版被害が増加していることから、紙媒体による出版のみを対象とした出版権制度を見直し、電子書籍に対応した出版権の整備を行うことを目的としている。また、視聴覚的実演に関する国際的な保護を強化に対応し、視聴覚的実演に関する北京条約の実施に伴う規定の整備を目的としている。
1. 電子書籍に対応した出版権の整備について(第79条、第80条、第81条、第84条等関係)
(1) 出版権の設定(第79条関係)
著作権者は、著作物について、以下の行為を引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
① 文書又は図画として出版すること(記録媒体に記録された著作物の複製物により頒布することを含む)
【紙媒体による出版やCD-ROM等による出版】
② 記録媒体に記録された著作物の複製物を用いてインターネット送信を行うこと
【インターネット送信による電子出版】
(2) 出版権の内容(第80条関係)
出版権者は、設定行為で定めるところにより、その出版権の目的である著作物について、次に掲げる権利の全部又は一部を専有する。
① 頒布の目的をもって、文書又は図画として複製する権利(記録媒体に記録された電磁的記録として複製する権利を含む)
② 記録媒体に記録された著作物の複製物を用いてインターネット送信を行う権利
(3) 出版の義務・消滅請求(第81条、第84条関係)
① 出版権者は、出版権の内容に応じて、以下の義務を負う。ただし、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。
・原稿の引渡し等を受けてから六月以内に出版行為又はインターネット送信行為を行う義務
・慣行に従い継続して出版行為又はインターネット送信行為を行う義務
② 著作権者は、出版権者が1の義務に違反したときは、義務に対応した出版権を消滅させることができる。
2. 視聴覚的実演に関する北京条約の実施に伴う規定の整備について(第7条関係)
視聴覚的実演条約を締結するため、著作権法の保護を受ける実演に、視聴覚的実演条約の締約国の国民が行う実演を加える。
文化庁
著作権法の一部を改正する法律
著作権法の一部を改正する法律 新旧対照条文
著作権法の一部を改正する法律 概要