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残部配布問題

「試験実施後の残部をオープンキャンパスで受験希望者に配布してよいか?」
最近多くの学校から、 いわゆる残部配布の問題について問合せを受けます。大変難しい問題だと思いますが、小会としての見解を示しておきます。
(判例が存在しない今、小会としては、以下に記す条件の下、自己責任で判断をして頂きたい)


著作権法第四十七条の三(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)で三十六条第一項に基づいて作成された複製物は、譲渡により公衆に提供することができるとされています。このまま読むと試験問題の残部は、公衆に配布することができることになります。

ただし、三十六条第一項が、条件として「当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」としていますので、無制限によいというわけではないという考え方がとられているようです。


三十六条第一項の「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」とは、問題を作成する場合にすでに制限されているので、その条件をクリアした試験問題は、改めて問題にするべくもなくクリアできているという考え方ができます。


それに対し、問題とされているのは、おおよそ次の2つの点にあるようです。


1.残部はあくまでも残部であり少部数であることが前提。受験希望者に配布できるほどの量が残ること自体が疑問。印刷部数そのものに問題があるのでは?


2.試験はその性質上秘匿性のために許諾を必要としないが、受験希望者に配布するという行為は、著作権者の利益を不当に害することとなるのではないか?


たとえば第三十五条(学校その他の教育機関における複製等)においては、多くの法律学者が、複製可能な数量として教室の人数程度と解釈しています。文化庁も同様の解釈をしているようです。その解釈からするとオープンキャンパス等で来校する生徒全員に配布できる残部というのは疑問が残ります。

また、三十六条の制定の目的から考えても頷けなくはないと感じます。しかし、法律を読む限りは、具体的には全く触れられていません。


冒頭に記したように小会としては、残部配布は、その行為が違法、適法という判断より、配布する部数や配布する形態によりその都度判断すべきと考えます。


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