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2019.12.5

試験問題作成の際の改変について(重要)

最近、著作権者から入試問題での改変についての苦言が多数寄せられています。違法な改変はなさらぬよう問題の作成時の改変には十分注意をしてください。
 著作権法第36条は、試験問題として第三者の著作物を許可なく複製し、試験問題に収録することを認めていますが、著作権法第50条により改変は認められていません。ただし、設問のために、例えば、問題用紙のスペースの関係からの著作物の一部分の抜粋使用や空欄補充、漢字書き取りのためのカナ変換、文の並べ替え等は同法第20条第2項第4号により認められる「止むを得ない改変」と解されています。
 設問の際のスペースの問題から文章の中抜きを行う場合があります「中略」や「〇〇行から〇〇行まで省略」といった言葉を挟み省略すれば良いのですが、前後の文を改変し無理やり文章を繋げたり、間に省略部分を要約した文を挟んだりする改変が見られます。これらは止むを得ない改変ではありません意図的な改ざんです。また、文体を敬体(です・ます調)から常体(だ・である調)に変えることも著作権法が保護する表現を改変することですので止むを得ない改変ではありません。
 英語の場合、受験生が習わない単語や構文を理由に、改変をされているケースがありますが、脚注で訳をつければ単語の置き換えは回避できます。構文自体を変えることは改変です。もし試験問題としてふさわしくない構文がある著作物であれば他の著作物に変更すべき問題で改変による対応は誤った選択です。
 出題の際に行える止むを得ない改変とは、正しい答えによって原文に戻る範囲での改変であると理解してください。


<関連条文>---------------------------------------------------------------------------------------------

(同一性保持権)

第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。

 一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの

 二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変

 三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変

 四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

(昭六〇法六二・2項三号追加四号一部改正、平十五法八五・2項一号一部改正)


(試験問題としての複製等)

第三十六条 公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

2 営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない

(平十五法八五・見出し1項2項一部改正)


(翻訳、翻案等による利用)

第四十七条の六 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該著作物について、当該規定の例により当該各号に定める方法による利用を行うことができる。

 一 第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項、第三十五条第一項又は前条第二項 翻訳、編曲、変形又は翻案

 二 第三十条の二第一項又は第四十七条の三第一項翻案

 三 第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段、第三十二条、第三十六条第一項、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳

 四 第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第四十七条変形又は翻案

 五 第三十七条第三項翻訳、変形又は翻案

 六 第三十七条の二 翻訳又は翻案

2 前項の規定により創作された二次的著作物は、当該二次的著作物の原著作物を同項各号に掲げる規定(次の各号に掲げる二次的著作物にあつては、当該各号に 定める規定を含む。以下この項及び第四十八条第三項第二号において同じ。)により利用することができる場合には、原著作物の著作者その他の当該二次的著作 物の利用に関して第二十八条に規定する権利を有する者との関係においては、当該二次的著作物を前項各号に掲げる規定に規定する著作物に該当するものとみなして、当該各号に掲げる規定による利用を行うことができる。

 一 第四十七条第一項の規定により同条第二項の規定による展示著作物の上映又は自動公衆送信を行うために当該展示著作物を複製することができる場合に、前項の規定により創作された二次的著作物同条第二項

 二 前条第二項の規定により公衆提供提示著作物について複製、公衆送信又はその複製物による頒布を行うことができる場合に、前項の規定により創作された二次的著作物同条第一項

(平二十一法五三・追加、平三〇法三〇・全改、平三〇法三九・1項四号一部改正)


(著作者人格権との関係)

第五十条 この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。


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