平成30年著作権法改正

「著作権法の一部を改正する法律」が、平成30年5月18日に成立。

「著作権法の一部を改正する法律」が、第196回通常国会(平成30年5月18日)にて成立し、同年5月14日に平成26年法律第35号として公布された。本法律は、一部の規定を除いて、平成31年1月1日に施行された。

デジタル・ネットワーク技術の進展により、新たに生まれる様々な著作物の利用ニーズに的確に対応 するため、著作権者の許諾を受ける必要がある行為の範囲を見直し、情報関連産業、教育、障害者、 美術館等におけるアーカイブの利活用に係る著作物の利用をより円滑に行うことを目的とした改正。

法改正の概要

① デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備( 第30条の4、第47条の4、第47条の5等関係)

I.著作物の市場に悪影響を及ぼさないビッグデータを活用したサービス等※のための著作物の利用について、許諾なく行えるようにする。

II.イノベーションの創出を促進するため、情報通信技術の進展に伴い将来新たな著作物の利用方法が生まれた場合にも柔軟に対応できるよう、ある程度抽象的に定めた規定を整備する。


※ 例えば現在許諾が必要な可能性がある以下のような行為が、無許諾で利用可能となる。

○所在検索サービス(例:書籍情報の検索)
→著作物の所在(書籍に関する各種情報)を検索し、その結果と共に著作物の一部分を表示する。

○情報解析サービス(例:論文の盗用の検証)
→大量の論文データを収集し、学生の論文と照合して盗用がないかチェックし、盗用箇所の原典の一部分を表示する。


② 教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備(第35条等関係)

ICTの活用により教育の質の向上等を図るため、学校等の授業や予習・復習用に、教師が他人 の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等について、許諾なく行えるようにする。

【現 在】利用の都度、個々の権利者の許諾とライセンス料の支払が必要

【改正後】ワンストップの補償金支払のみ(権利者の許諾不要)


③ 障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備(第37条関係)

マラケシュ条約※の締結に向けて、現在視覚障害者等が対象となっている規定を見直し、肢体不自由等により書籍を持てない者のために録音図書の作成等を許諾なく行えるようにする。

※視覚障害者や判読に障害のある者の著作物の利用機会を促進するための条約

【現 在】視覚障害者や発達障害等で゛著作物を視覚的に認識できない者が対象

【改正後】肢体不自由等を含め、障害によって書籍を読むことが困難な者が広く対象


④アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等(第31条、第47条、第67条等関係)

・美術館等の展示作品の解説・紹介用資料をデジタル方式で作成し、タブレット端末等で閲覧可能にすること等を許諾なく行えるようにする。

【現 在】小冊子(紙媒体)への掲載は許諾不要。タブレット等(デジタル媒体)での利用は許諾が必要。

【改正後】小冊子、タブレット等のいずれも場合も許諾不要。

・国及び地方公共団体等が裁定制度※を利用する際、補償金の供託を不要とする。

※著作権者不明等の場合において、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託することで、著作物を利用することができる制度

【現 在】裁定制度により著作物等を利用する場合、事前に補償金の供託が必要

【改正後】国及び地方公共団体等については、補償金の供託は不要(権利者が現れた後に補償金を支払う)

・国会図書館による外国の図書館への絶版等資料の送付を許諾無く行えるようにする。

施行日

平成31年1月1日

②については公布の日から起算して3年を超えない範囲内において 政令で定める日。

参考資料

文化庁

平成30年通常国会著作権法改正について(文化庁)

著作権法の一部を改正する法律

著作権法の一部を改正する法律 新旧対照条文

著作権法の一部を改正する法律 概要



平成30年学校教育法改正関係

「学校教育法等の一部を改正する法律」が、平成30年5月25日に成立。

「学校教育法等の一部を改正する法律」が、第196回通常国会において、平成30年5月25日に成立し、同年6月1日に平成30年法律第39号として公布された。本法律は、平成31年4月1日に施行される。

法改正の概要

①学校教育法の一部改正

現在、小学校、中学校、高等学校等の授業では、紙の教科書を使用しなければならない (教科書の使用義務)こととされているところ、

① 小学校、中学校、高等学校等において、検定済教科書※の内容を電磁的に記録した「デジタル教科書」がある場合には、教育課程の一部において、教科書の使用義務に関わらず、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。
※学習指導要領を踏まえた検定基準に基づく検定に合格した図書が教科書として使用される。
ただし、視覚障害、発達障害等の事由により通常の紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒に対し、文字の拡大や音声読み上げ等により、その学習上の困難の程度を低減させる必要がある場合には、教育課程の全部において、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。【第34条関係】

② 特別支援学校や、工業高校など高等学校の専門教科等において、検定済教科書が無い場合等に使用する図書についても、①と同様に、その内容を電磁的に記録した教材を使用できることとする。【附則第9条関係】


② 著作権法の一部改正

通常の紙の教科書と同様に、掲載された著作物を権利者の許諾を得ずに「デジタル教科書」に掲載し、必要な利用を行うことを認めるとともに、当該著作物の利用に係る補償金等の規定について整備する等の措置を講ずる。【新設】


③ 文部科学省著作教科書の出版権等に関する法律の一部改正

民間による教科書の発行がなく文部科学省著作教科書が発行される場合に、その「デジタル教科書」についても、文部科学省著作教科書と同様に、文部科学大臣が出版権を設定できることとする等の措置を講ずる。【第17条関係】

施行日

平成31年4月1日

参考資料

文化庁

学校教育法等の一部を改正する法律(平成30年法律第39号)について(文化庁)

学校教育法の一部を改正する法律 概要

学校教育法の一部を改正する法律 条文

学校教育法の一部を改正する法律 新旧対照表



平成30年TPP11整備法関係

環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年法律第108号)及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第70号)について。

環太平洋パートナーシップ協定(以下「TPP12協定」という。)は平成27年10月に大筋合意に至り、平成28年2月に署名された。これを受け、第192回国会において「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」(以下「TPP12整備法」という。)が平成28年12月9日に成立し、同月16日に平成28年法律第108号として公布。

TPP12整備法は、著作権法を含む11法の改正を内容とするものだが、一部を除きTPP12協定が日本国について効力を生ずる日から施行することとされていた。

その後、平成29年1月、米国がTPP12協定の離脱を表明したため、米国以外の11か国による交渉が行われ、平成30年3月8日に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(以下「TPP11協定」という。)が署名された。これを受け、第196回国会において「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律」(以下「TPP11整備法」という。)が平成30年6月29日に成立し、同年7月6日に平成30年法律第70号として公布された。

TPP11整備法は、TPP12整備法の題名を「環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」に改めると共に、TPP12整備法の施行日を原則としてTPP11協定が日本国について効力を生じる日に改めることとした。

TPP11整備法は公布と共に施行され、これにより、TPP12整備法において予定されていた著作権法の改正については、TPP11協定が日本国について効力を生ずる日※から施行されることとった。

我が国は、平成30年7月6日にTPP11協定の国内手続の完了について、協定の寄託国であるニュージーランドに対し通報を行い、同年10月31日に6か国目となるオーストラリアが、国内手続を完了した旨の通報をニュージーランドに対し行った。これにより、TPP11協定は同年12月30日に発効することとなり、TPP12整備法において予定されていた著作権法の改正については、同日より施行されることとなった。

※TPP11協定は、同協定の署名国のうち少なくとも6又は半数のいずれか少ない方の国が国内法上の手続を完了したことを寄託者に通報してから60日後に効力を生ずることとされている(TPP11協定第3条)。

法改正の概要

(1)著作物等の保護期間の延長(第51条第2項、第52条第1項、第53条第1項、第101条第2項第1号及び第2号関係)

著作物等の保護期間について、改正前の著作権法においては、著作物の保護期間の終期は原則として著作者の死後50年とされており(映画の著作物については公表後70年まで)、実演やレコードについても、それぞれの起算点から50年とされていたが、今回の改正により、著作物、実演及びレコードの保護期間の終期を、それぞれの起算点から70年とする。


(2)著作権等侵害罪の一部非親告罪化(第123条第2項及び第3項関係)

改正前の著作権法においては、著作権等を侵害する行為は刑事罰の対象となるものの、これらの罪は親告罪とされており、著作権者等の告訴がなければ公訴を提起することができなかった。今回の改正により、著作権等侵害罪のうち、以下の全ての要件に該当する場合に限り、非親告罪とし、著作権等の告訴がなくとも公訴を提起することができる。

[1]侵害者が、侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること

[2]有償著作物等を「原作のまま」公衆譲渡若しくは公衆送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること

[3]有償著作物等の提供又は提示により権利者の得ることが見込まれる「利益が不当に害されることとなる場合」であること

これにより、例えばいわゆるコミックマーケットにおける同人誌等の二次創作活動については、一般的には、原作のまま著作物等を用いるものではなく、市場において原作と競合せず、権利者の利益を不当に害するものではないことから、上記[1]~[3]のような要件に照らせば、非親告罪とはならないものと考えられる一方で、販売中の漫画や小説の海賊版を販売する行為や、映画の海賊版をネット配信する行為等については、非親告罪となるものと考えられる。


(3)著作物等の利用を管理する効果的な技術的手段に関する制度整備(アクセスコントロールの回避等に関する措置)(第2条第1項第21号、第113条第3項、第119条第1項、第120条の2第1項第1号及び第2号関係)

改正前の著作権法においては、アクセスコントロール機能のみを有する保護技術については、技術的保護手段の対象とはされていなかった。今回の改正により、従前の技術的保護手段に加え、アクセスコントロール機能のみを有する保護技術について、新たに「技術的利用制限手段」を定義した上で、技術的利用制限手段を権原なく回避する行為について、著作権者等の利益を不当に害しない場合を除き、著作権等を侵害する行為とみなして民事上の責任を問いうることとするとともに、技術的利用制限手段の回避を行う装置やプログラムの公衆への譲渡等の行為を刑事罰の対象とすることとしている。


(4)配信音源の二次使用に対する使用料請求権の付与(第95条第1項関係)

改正前の著作権法においては、商業用レコード(市販の目的をもって製作されるレコードの複製物)を用いて放送や有線放送が行われた場合、実演家及びレコード製作者は放送事業者等に対し二次使用料請求権を有することとしており、CD等の商業用レコードを介さずインターネット等から直接配信される音源(いわゆる「配信音源」)を用いて放送や有線放送が行われた場合においては、二次使用料請求権は発生しなかった。今回の改正により、実演家及びレコード製作者に対し、配信音源の二次使用について、商業用レコードと同様に二次使用料請求権を付与することとしている。


(5)損害賠償に関する規定の見直し(第114条第4項関係)

著作権等侵害に対する損害賠償請求について立証負担の軽減を行うため、現行規定に加えて、侵害された著作権等が著作権等管理事業者により管理されている場合には、著作権者等は、当該著作権等管理事業者の使用料規程により算出した額を損害額として賠償を請求することができることとしている。

施行日

TPP11協定が日本国について効力を生ずる日である平成30年12月30日から施行

参考資料

文化庁

環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年法律第108号)及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第70号)について(文化庁)



平成30年民法及び家事事件手続法改正関係

「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が、第196回通常国会において、平成30年7月6日に成立。

「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が、第196回通常国会において、平成30年7月6日に成立し、同年7月13日に平成30年法律第72号として公布された。本法律は、一部の規定を除いて、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日[令和元年7月1日]から施行されることとなっている。また、同法改正に伴い著作権法施行令や著作権法施行規則等の改正を行い、同日から施行される。

民法改正(相続関係)に伴う著作権法の一部改正の概要

相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記等の対抗要件なく して第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直し、法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないようにする。(第77条、第88条関係)

不動産等の財産が相続により承継される際、①相続人間による遺産分割のほか、②遺言 による相続分の指定や③相続させる旨の遺言等によって、法定相続分による場合とは異なる範囲の財産が承継されることがある。 現在の民法及び判例によると、②や③により法定相続分と異なる範囲の財産が承継され た場合、相続人は登記がなくとも法定相続分を超える部分について第三者に対抗することが できるが、こうした帰結は遺言の有無や内容を知り得ない債権者等の利益を害するといった 批判があった。そこで、法定相続分を超える財産の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ 第三者に対抗することができないこととする民法改正(相続関係)に合わせ、著作権等の移転に関する規定の見直しを行った。

施行日

令和元年7月1日 ※民法改正(相続関係)の施行期日と同日

参考資料

文化庁

学校教育法等の一部を改正する法律(平成30年法律第39号)について(文化庁)

学校教育法の一部を改正する法律 概要

学校教育法の一部を改正する法律 条文

学校教育法の一部を改正する法律 新旧対照表




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