第113条第2項:侵害コンテンツへのリンク提供のみなし侵害化

令和2年著作権法改正

1.インターネット上の海賊版対策の強化

▶ ︎2.その他の改正事項

海賊版サイトの現状

本法改正は、「漫画村」に代表されるアニメの海賊版DLサイト、写真集、雑誌、文芸書などの出版物の海賊版DLサイトに加え、ビジネスソフト・ゲームソフト等をインターネットオークションで落札者を違法にアップロードしたアドレスからダウンロードさせる方法やファイル共有サイトからのダウンロードなど多様な方法で違法なダウンロードが行われています。

学術分野においても論文海賊版サイトからの違法ダウンロードが年々増加している。(大谷周平氏、板東慶太氏による「情報の科学と技術68巻10号」, 2018,513〜519頁掲載の論文より(同サイトにおけるダウンロード数は2015年から 2017年の間に5倍以上に増加)とされている。
他にも新聞記事やネットニュースを無断転載したまとめサイトなど海賊版サイトは深刻な問題となっている。

海賊版被害の実態及び早急な法整備の必要性について

【漫画・雑誌などの海賊版被害】 ※権利者団体による調査・推計

◆「漫画村」: 約3000億円分の出版物がタダ読みされた計算漫画家・出版社の収入・売上が20%減との試算もあり

◆日本最大級のリーチサイト「はるか夢の址」における被害: 約731億円 (摘発までのの1年間)

⇒ 上記サイトの閉鎖後も依然として多数の海賊版サイトが存在(出版広報センターが把握しているだけで500サイト以上)。アクセス数上位10サイトだけで、月間のべ6500万人が利用 (この10サイトのうち7サイトが「ダウンロード型海賊版サイト」)

⇒ 漫画・雑誌のほか、写真集・文芸書・専門書、ビジネスソフト、ゲーム、学術論文、新聞など、 著作物の分野・種類を問わず被害が発生。

⇒ 著作権者に無許諾でアップロードされた侵害コンテンツは、リーチサイトにリンクが貼られる ことで、約62倍も多く視聴されてしまう(電気通信大学による調査)。

早急に対策を講じないと、クリエーター・コンテンツ産業に回復困難な損害が生じる恐れがある

<喫緊の法整備>

① リーチサイト対策 + ②ダウンロード違法化・刑事罰化(著作物全般に拡大)

(※) このほか、広告出稿抑制や検索サイト対策など、民間ベースの取組も推進する必要

(特に、ストリーミング型海賊版サイトについては、これらの対策が重要となる)

これにより、海賊版被害の拡大が防止され、 コンテンツ産業の振興や著作権法の目的である「文化の発展」に資する。

インターネット上の海賊版対策の強化について(イメージ)

現行法上の取扱い

・ 著作権者の許可なく著作物(全般)をインターネット上にアップロードすることは違法

・ 違法にアップロードされた音楽・映像を、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードすることは違法

今回の改正案による規制内容

1 【リーチサイト対策】違法にアップロードされた著作物へのリンク情報を集約した「リーチサイト」を規制する((ア)サイト運営行為と、 (イ)リンク提供行為の両方を規制する)

2 【ダウンロード違法化】 違法にアップロードされた著作物(漫画・書籍・論文・コンピュータプログラムなど)を、違法にアップロードされたものだと知りながらダウンロードすることを、一定の要件の下で違法とする

①リーチサイト対策【第113条第2項等関係】

<改正のポイント>

違法にアップロードされた著作物(侵害コンテンツ)へのリンク情報を集約した「リーチサイト」や「リーチ アプリ」によって、海賊版被害が深刻化していることから、①リーチサイト・リーチアプリにおいて侵害コンテンツへのリンクを提供する行為、②リーチサイト運営行為・リーチアプリ提供行為を規制する。


1.リーチサイト・リーチアプリの定義【第113条第2項第1号・第2号】

・ 公衆を侵害コンテンツに殊更に誘導するものであると認められるウェブサイト・アプリ

・ 主として公衆による侵害コンテンツの利用のために用いられるものであると認められるウェブサイト・アプリ


2.規制内容

規制内容(措置)

リンク提供者

民事措置(著作権等を侵害する行為とみなして差止請求・損害賠償請求を可能とする)【第113条第2項】

(※) リンク先が侵害コンテンツであることについて故意・過失がある場合に限る。

刑事罰(3年以下の懲役・300万円以下の罰金(併科も可))【親告罪

(※)故意犯のみ処罰 【第120条の2第3号等】

サイト運営者

アプリ提供者

刑事罰(5年以下の懲役・500万円以下の罰金(併科も可))【親告罪】【第119条第2項第4号・第5号等】

(※) 侵害コンテンツへのリンク提供等を認識しつつ放置するなどの場合には、個々のリンク提供等について民事責任を負う(権利者は サイト運営者等に対して差止請求が可能となる)。【第113条第3項】

(※) いわゆる「プラットフォーム・サービス提供者」には、基本的に今回の規制は及ばない。

(リーチサイト関係)【サイト運営者等がリンク提供を放置する行為のみなし侵害化】

第113条第2項:侵害コンテンツへのリンク提供のみなし侵害化

<新設項>

(侵害とみなす行為)

第百十三条 (改正条文)

(略)

2 送信元識別符号又は送信元識別符号以外の符号その他の情報であつてその提供が送信元識別符号の提供と同一若しくは類似の効果を有するもの(以下この項及び次項において「送信元識別符号等」という。)の提供により侵害著作物等(著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この項及び次項において同じ。)、出版権又は著作隣接権を侵害して送信可能化が行われた著作物等をいい、国外で行われる送信可能化であつて国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきものが行われた著作物等を含む。以下この項及び次項において同じ。)の他人による利用を容易にする行為(同項において「侵害著作物等利用容易化」という。)であつて、第一号に掲げるウェブサイト等(同項及び第百十九条第二項第四号において「侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等」という。)において又は第二号に掲げるプログラム(次項及び同条第二項第五号において「侵害著作物等利用容易化プログラム」という。)を用いて行うものは、当該行為に係る著作物等が侵害著作物等であることを知つていた場合又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合には、当該侵害著作物等に係る著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。

一 次に掲げるウェブサイト等

イ 当該ウェブサイト等において、侵害著作物等に係る送信元識別符号等(以下この条及び第百十九条第二項において「侵害送信元識別符号等」という。)の利用を促す文言が表示されていること、侵害送信元識別符号等が強調されていることその他の当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符号等の提供の態様に照らし、公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するものであると認められるウェブサイト等

ロ イに掲げるもののほか、当該ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の数、当該数が当該ウェブサイト等において提供されている送信元識別符号等の総数に占める割合、当該侵害送信元識別符号等の利用に資する分類又は整理の状況その他の当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符号等の提供の状況に照らし、主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるウェブサイト等

二 次に掲げるプログラム

イ 当該プログラムによる送信元識別符号等の提供に際し、侵害送信元識別符号等の利用を促す文言が表示されていること、侵害送信元識別符号等が強調されていることその他の当該プログラムによる侵害送信元識別符号等の提供の態様に照らし、公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するものであると認められるプログラム

ロ イに掲げるもののほか、当該プログラムにより提供されている侵害送信元識別符号等の数、当該数が当該プログラムにより提供されている送信元識別符号等の総数に占める割合、当該侵害送信元識別符号等の利用に資する分類又は整理の状況その他の当該プログラムによる侵害送信元識別符号等の提供の状況に照らし、主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるプログラム

3〜10 (略)

第113条第2項第1号 イ・ロ のイメージ【リーチサイト・リーチアプリの定義】

<第113条第2項第1号 イ のイメージ>

(サイト運営者が、侵害コンテンツへの誘導のために、デザインや表示内容等を作り込んでいるような場合を想定)

「第113条第2項第1号 イ 」の条文抜粋

イ 当該ウェブサイト等において、侵害著作物等に係る送信元識別符号等(以下この条及び第百十九条第二項において「侵害送信元識別符号等」という。)の利用を促す文言が表示されていること、侵害送信元識別符号等が強調されていることその他の当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符号等の提供の態様に照らし、公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するものであると認められるウェブサイト等



<第113条第2項第1号 ロ のイメージ>

(掲示板などの投稿型サイトで、ユーザーが違法リンクを多数掲載し、結果として侵害コンテンツの利用を助長しているような場合を想定)

「第113条第2項第1号 ロ 」の条文

ロ イに掲げるもののほか、当該ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の数、当該数が当該ウェブサイト等において提供されている送信元識別符号等の総数に占める割合、当該侵害送信元識別符号等の利用に資する分類又は整理の状況その他の当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符号等の提供の状況に照らし、主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるウェブサイト等



(リーチサイト関係)【侵害コンテンツへのリンク提供者に対する刑事罰】

第120条の2第3号:侵害コンテンツへのリンク提供者に対する刑事罰

<新設項>


第百二十条の二 (改正条文)

 (略)

一〜二 (略)

三 第百十三条第二項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者

四〜六(略)



(リーチサイト関係)【サイト運営者等がリンク提供を放置する行為のみなし侵害化】

第113条第3項:リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者がリンク提供を放置する行為のみなし侵害化

<新設項>


第百十三条 (新設項:第三項)

(略)

2・3(略)

4 前二項に規定するウェブサイト等とは、送信元識別符号のうちインターネットにおいて個々の電子計算機を識別するために用いられる部分が 共通するウェブページ(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で文部科学省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の集合物(当該集合物の一部を構成する複数のウェブページであつてウェブページ相互の関係その他の事情に照らし公衆への提示が一体的に行われていると認められるものとして政令で定める要件に該当するものを含む。)をいう。

5〜10(略)



(リーチサイト関係)【リーチサイト運営者等に対する刑事罰】

第119条第2項第4号・第5号:リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者に対する刑事罰

  自ら直接的にリーチサイト運営行為やリーチアプリ提供行為を行っていない「プラットフォーム・サービス 提供者」には基本的に今回の規制が及ばないことを条文上明記

<新設号文>  


第百十九条 (改正条文)

(略)

2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一〜三 (略)

侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行つた者(当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等と侵害著作物等利用容 易化ウェブサイト等以外の相当数のウェブサイト等(第百十三条第四 項に規定するウェブサイト等をいう。以下この号及び次号において同じ。)とを包括しているウェブサイト等において、単に当該公衆への提示の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作 物等利用容易化ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期 間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。)

侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等を行つた者( 当該公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等とそれ以外の相当数のウェブサイト等とを包括しているウェブサイト等又は当該侵害著作物等利用容易化プログラム及び侵害著作物等利用容易化プログラム以外の相当数のプログラムの公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等において、単に当該侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等の機会を提供したに過ぎない者(著作権 者等からの当該侵害著作物等利用容易化プログラムにより提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を 除く。)

3(略)



(リーチサイト関係)【ウェブサイト等の一般的な定義】

  第113条第4項:ウェブサイト等の一般的な定義

<新設項>  


第百十三条 (改正条文)

(略)

2・3(略)

4 前二項に規定するウェブサイト等とは、送信元識別符号のうちインターネットにおいて個々の電子計算機を識別するために用いられる部分が共通するウェブページ(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で文部科学省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の集合物(当該集合物の一部を構成する複数のウェブページであつて、ウェブページ相互の関係その他の事情に照らし公衆への提示が一体的に行われていると認められるものとして政令で定める要件に該当するものを含む。)をいう。



(リーチサイト関係)【プラットフォーマーの除外】

<自ら直接的にリーチサイト運営行為やリーチアプリ提供行為を行っていない「プラットフォーム・サービス提供者」には基本的に今回の規制が及ばないことを条文上明記>

<新設項>  


第百十九条 (改正条文)

(略)

2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

一~三 (略)

四 侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行つた者(当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト 等と侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等以外の相当数のウェブサイト等(第百十三条第四項に規定する ウェブサイト等をいう。以下この号及び次号において同じ。)とを包括しているウェブサイト等において、単に当 該公衆への提示の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態 が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情が ある場合を除く。)を除く。)

5〜10(略)



2侵害コンテンツのダウンロード違法化【第30条第1項第4号等関係】

<改正のポイント>

○ 違法にアップロードされた著作物のダウンロード規制(私的使用であっても違法とする)について、対象を音楽・ 映像から著作物全般(漫画・書籍・論文・コンピュータプログラムなど)に拡大する。

○ その際、国民の情報収集等を過度に萎縮させないよう、規制対象を違法にアップロードされたことを知りながら ダウンロードする場合のみとする(※)とともに、①漫画の1コマ〜数コマなど「軽微なもの」や、②二次創作・パロディ、③「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」のダウンロードは規制対象外とする。

(※) 重過失によって違法にアップロードされたものだと知らなかった場合も、規制対象とはならない。

○ さらに、刑事罰については、特に悪質な行為に限定する観点から、正規版が有償で提供されている著作物の ダウンロードであること、反復・継続してダウンロードを行うことを要件とする。(法定刑:2年以下の懲役・200万円以下の罰金(併科も可)、全て「親告罪」(権利者の告訴が必要))



<改正後のイメージ>

  民事措置【第30条第1項第4号・第2項】 刑事罰【第119条第3項第2号・第5項等】
対象著作物・ 対象行為 違法にアップロードされた著作物全般 違法にアップロードされた著作物全般で、 正規版が有償で提供されているもの
【除外1】 漫画の1コマ~数コマなど「軽微なもの」は対象外
(※)スクリーンショットを行う際の違法画像等の写り込みについても違法とはならない (法第30条の2により措置)
【除外2】 二次創作・パロディは対象外
【除外3】 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」は対象外
主観要件 違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合が対象 (※) 重過失によって違法にアップロードされたことを知らなかった場合も、対象とはならない
常習性 継続的に又は反復して行う場合が対象
法定刑の水準 2年以下の懲役・200万円以下の罰金(併科も可)
親告罪の扱い すべて親告罪(権利者の告訴が必要)

(参考) 平成31年2月時点の法案からの修正点

 海賊版対策の実効性を確保しつつ、国民の萎縮を防止するなどの観点から、以下の修正を行っている。

① 附則に普及啓発・教育をはじめとした運用上の配慮規定などを追加

 (i) 国民への普及啓発・教育の充実 【附則第2条】

 (ii) 適法サイトへのマーク付与等の推進 【附則第3条】

 (iii) 刑事罰の運用に当たっての配慮 【附則第5条】

 (iv) 施行後1年を目途としたフォローアップ【附則第6条】

 (v) 違法アップロード対策の充実(国際連携・国際執行、民間との協働など)【附則第7条】

② スクリーンショットを行う際に、違法にアップロードされた画像(例:アニメキャラのアイコン)が写り込むことなどを 違法化対象から除外 (法第30条の2により措置)

③ 漫画の1コマ~数コマなど、「軽微なもの」のダウンロードを違法化対象から除外

④「二次創作・パロディー」のダウンロードを違法化対象から除外

⑤「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」を違法化対象から除外

(※1) ユーザー側に「不当に害しない」という立証責任を負わせるとともに、「特別な事情」と明記することで居直り的な利用を確実 に防止する。

(※2) 「特別な事情」は、(ア)著作物としての保護の必要性の程度と、(イ)ダウンロードの目的・必要性などの態様の2つの要素 によって判断される。例えば、詐欺集団の作成した詐欺マニュアルを防犯目的でダウンロードする行為などが典型例。

【参考】 「軽微なもの」の基準・具体例

 下記で示した例はあくまで典型例であり、著作物の種類・性質や、著作物全体の中での複製する部分の位置 付け等に応じて、これら以外にも「軽微なもの」に該当する場合はあり得る(争いとなった場合には、個別事情を 考慮して裁判所で判断されるもの)。

 1.「分量」による基準・典型例(全般)

 その著作物全体の分量から見て、ダウンロードされる分量がごく小さい場合には、「軽微なもの」と認められる。

<「軽微なもの」の典型例>

 ・数十ページで構成される漫画の1コマ〜数コマのダウンロード

 ・長文で構成される論文や新聞記事などの1行〜数行のダウンロード

 ・数百ページで構成される小説の1ページ〜数ページのダウンロード

<「軽微なもの」とは言えない例>

 ・漫画の1話の半分程度のダウンロード

 ・1コマ漫画の1コマ全部のダウンロード

 ・論文や新聞記事の半分程度のダウンロード

 ・絵画や写真など1枚で作品全体となるもののダウンロード

 ( ※2.により「軽微なもの」と認められる場合もあり得る)



 2.「画質」による基準・典型例(絵画・イラスト・写真など)

 画質が低く、それ自体では鑑賞に堪えないような粗い画像には、「軽微なもの」と認められる。

<「軽微なもの」の典型例>

 ・サムネイル画像のダウンロード

<「軽微なもの」とは言えない例>

 ・絵画・イラストなどの鮮明な画像のダウンロード

 ・高画質の写真のダウンロード



【参考】 「二次創作物のダウンロードに関する取扱い

 二次創作者が原作者の許諾なくアップロードした二次創作物については、それが違法にアップロード されたものだと知りながらダウンロードしたとしても、違法とはならない。

(※)二次創作物を、第三者が二次創作者の許諾なく更に無断転載(アップロード)している場合に、それを知りながらダウンロードする行為は、 二次創作者の権利を直接侵害していることから、違法となり、刑事罰も科され得る。

(※)二次創作者に対して権利行使を行うか、黙認するかは、原作者の判断に委ねられる(多くは黙認されている)。



【「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」について

 基本的な考え方

○ 国民による正当な情報収集等への萎縮を防止する必要がある一方で、海賊版対策の実効性 が低下することは避けなければならない。

○ このため、両者の要請を並び立たせる折衷案として、「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」という規定を追加するもの。

○ これにより、1ユーザー側が「不当に害しないと認められる特別な事情」があることを立証する必要があることなる(その立証ができない場合には、ダウンロードは違法となる)(※1)(※2) とともに、2居直り的な利用を確実に防止すること(※3)が可能となり、海賊版対策の実効性も 十分に確保される。

(※1) 侵害コンテンツ(かつ、軽微でも二次創作でもないもの=相当分量のデッドコピー)をそうと知りながら利用している以上は、ユーザー側が例外的に「不当に害しない」という立証をすることが適当。
(※2) なお、刑事罰の場合は、検察が「不当に害しないと認められる特別な事情」がないことを立証する必要。
(※3) 漫画の海賊版などを楽しむためにダウンロードしているような場合には、およそ「特別な事情がある場合」に該当しないことは明らかであるため、居直り(行き過ぎた主張)を確実に防止できる。



 判断基準

(ア)著作物の種類・経済的価値などを踏まえた保護の必要性の程度(イ)ダウンロードの目的・必要性など を含めた態様、という2つの要素によって 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場 合」に該当するか否かが判断される。


(ア)著作物としての保護の必要性の程度

×

(イ)ダウンロードの目的・ 必要性などを含めた態様

保護の必要性が低いほど、「・・・特別な 事情がある場合」に該当するという判断 に傾きやすくなる   ダウンロードの目的の正当性や、ダウンロード の必要性が高いほど、「・・・特別な事情がある 場合」に該当するという判断に傾きやすくなる


 「・・・特別な事情がある場合」に該当する具体例

【例1】 詐欺集団の作成した詐欺マニュアル(著作物)が、被害者救済団体によって告発サイトに無断掲載(違法アップロード)されている 場合に、それを自分や家族を守る目的でダウンロードすること

【例2】 無料の大学紀要に掲載された論文(著作物)の相当部分が、他の研究者のウェブサイトに批判とともに無断転載(引用の要件は 満たしていない=違法アップロード)されている場合に、その文章を全体として保存すること (正しい知識を得るためには、その批判文と批判対象の論文をセットで保存する必要)

【例3】 有名タレントのSNSに、おすすめイベントを紹介するために、そのポスター(著作物)が無断掲載(違法アップロード)されている場合 に、そのSNS投稿を保存すること(有名タレントがイベントをおすすめしている事実とポスターをセットで保存する必要)

 ←ポスターの著作権者が黙示に許諾していると認められる場合は、そもそもアップロードが違法とならないため、当然、ダウンロード も違法とならない。


(※1) 著作権はあくまで私人の権利であるため、仮に形式的には違法となる行為を行ったとしても、権利者がそれを問題視して権利行使・ 告訴を行わなければ法的責任は問われない。
(※2) また、著作権者による権利行使が権利濫用(民法第1条第3項)に該当する場合や、ユーザーの行為が正当行為(刑法第35条)に該当する場合には、それぞれ民事・刑事の責任は問われない。

条文解説(ダウンロード違法化関係)【民事措置】

第30条第1項第4号:ダウンロード違法化の対象範囲の拡大(全ての著作物を対象に)+除外規定

赤字部分:規制対象行為緑字部分:除外規定青字部分:主観要件

(私的使用のための複製)

第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

一〜三 (略)

著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る 。)を除く。以下この号において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて 、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作権に係る著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び次項において「特定侵害複製」という。)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合 (当該著作物の種類及び用途並びに当該特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)



第30条第2項:主観要件の厳格化(重過失により違法だと知らなかった場合も違法とならないことを明確化)

(私的使用のための複製)

第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる

一〜四 (略)

2 前項第三号及び第四号の規定は、特定侵害録音録画又は特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならない。



条文解説(ダウンロード違法化関係)【刑事罰】

第119条第3項第2号:ダウンロード刑事罰化の対象範囲の拡大(全ての著作物を対象に)+除外規定

赤字部分:規制対象行為緑字部分:除外規定青字部分:主観要件橙字部分:罰則の水準
※民事措置と同様の除外規定を設けている(二次創作・パロディ、「軽微なもの」、「...特別な事情がある場合」)


第百十九条 (略)
2 (略)
3 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する
一 (略)
二 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、著作物(著作権の目的となつているものに限る。以 下この号において同じ。)であつて有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が 著作権を侵害しないものに限る。)の著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号及び第五項において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきもの を含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び第五項において「有償著作物特定侵害複製」という。)を、自ら有償著作物特定侵害複製であることを知りながら行つて著作権を侵害する行為(当該著作物の種類及び用途並びに当該有償著作物特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)を継続的に又は反復して行つた者
4・5 (略)

条文解説(附則関係)

<附則に運用上の配慮規定などを追加>
(ア)国民への普及啓発・教育の充実、(イ)適法サイトへのマーク付与等の推進、(ウ)刑事罰の運用に当たっ ての配慮、(エ)施行後1年を目途としたフォローアップ、(オ)違法アップロード対策の充実

(国民に対する啓発等)
第二条 国及び地方公共団体は、国民が、私的使用(第二条の規定による改正後の著作権法(以下「第二条改正後著作権法」という。)第三十条第一項に規定する私的使用をいう。) の目的をもって、特定侵害複製(同項第四号に規定する特定侵害複製をいう。以下この項において同じ。)を、特定侵害複製であることを知りながら行って著作権を侵害する行為 (以下「特定侵害行為」という。)の防止の重要性に対する理解を深めることができるよう、 特定侵害行為の防止に関する啓発その他の必要な措置を講じなければならない
2 国及び地方公共団体は、未成年者があらゆる機会を通じて特定侵害行為の防止の重要 性に対する理解を深めることができるよう、学校その他の様々な場を通じて特定侵害行為の防止に関する教育の充実を図らなければならない

(関係事業者の措置)
第三条 著作物(著作権の目的となっているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示する事業者は、特定侵害行為を防止するための措置を講ずるよう努めなければならない

(罰則についての運用上の配慮)
第四条 第一条の規定による改正後の著作権法(附則第八条において「第一条改正後著作権法」という。)第百十九条第二項(第四号及び第五号に係る部分に限る。)及び第百二十条の 二(第三号に係る部分に限る。)の規定の運用に当たっては、インターネットによる情報の提供 その他のインターネットを利用して行う行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければ ならない

第五条 第二条改正後著作権法第百十九条第三項(第二号に係る部分に限る。)の規定の運 用に当たっては、インターネットによる情報の収集その他のインターネットを利用して行う行為 が不当に制限されることのないよう配慮しなければならない

(検討)
第六条 政府は、この法律の施行後一年を目途として、第二条改正後著作権法第三十条第一項(第四号に係る部分に限る。)及び第百十九条第三項(第二号に係る部分に限る。)の規定 の施行の状況を勘案し、これらの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

第七条 政府は、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する送信可能化への対処に関し、その施策の充実を図る観点から検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

参考資料

文化庁

令和2年通常国会 著作権法改正について(文化庁)

・著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(概要)(169.7KB)

・著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)(767.1KB)

・著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(参考資料)(1MB)

・著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(条文)(186.5KB)

・著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(新旧対照表)(294.9KB)




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